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「つながり」を大切に「ご縁」に身を任せて。農業を通して地域をつなげていく。 / 木曽 大原

個人事業主

さいたま市桜区で有機農業を行う木曽大原(きそたいげん)さん。

農家としての野菜作りに限らず「地域循環」や「地域のつながり」をキーワードにさまざまな活動に取り組んでいます。

原点となったのは埼玉大学に通っていたときに体験した「フィールドワーク」。さまざまな場所へ直接赴き、学ぶことを繰り返しました。
社会や自分自身と向き合った結果、自然に寄り添ったシンプルな生き方をしたいと考え、農業を学ことを決意。

大学を卒業後、有機農業の第一人者である金子美登さんの霜里農場で住み込みの農業研修を行い、そこで学んだことが現在の礎となっています。
今回は木曽さんに大学生時代や農業研修時代に学んだことや、桜区で新規就農するまでの経緯、「地域をつなげる」ために今後取り組んでいきたいことを中心にお話を伺いました。

話を聞いた人
木曽 大原(きそ たいげん)



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1995年生 埼玉県草加市出身
2019年、埼玉大学卒業後、埼玉県小川町の霜里農場に1年間住み込みで研修。研修終了後、越谷市で循環する農業を営む遊佐農場で約2年間働き、2020年、さいたま市桜区にて「木曽農園」を始める。 2020年に発足した若手有機農家グループ「さいたま有機都市計画」所属。2022年より地元大久保小学校のコミュニティスクール評議員として地域の教育活動などに従事。座右の銘は継続は力なり

農業を通した人と自然のつながりをつくる

━ 木曽くん、本日はよろしくお願いします!まずは現在の主な活動について教えてください。

木曽くんさいたま市の桜区で有機農業を行っています。
「地産地消、顔の見える関係」を大切にしていて、収穫した農作物は地域の人に販売したり、飲食店に卸したりしていますね。

あと、最近ひよこを飼い始めました。

━ いやぁ、ひよこが可愛すぎますね。 木曽くんは農作物の生産・収穫・販売以外にもさまざまなことをされている印象があります。

木曽くん そうですね。
「農業を通した人と自然のつながり」をつくりたいという想いがありまして、田植え、稲刈り体験、梅の収穫会、年末の餅つき大会など、農に触れる体験や農を通してみんなが交流できるイベントを行っています。

あとは桜区やさいたま市周辺に興味関心がある方向けの、街案内をすることも結構ありますね。

━ 本当に幅広くて、地域おこし協力隊みたいな役割も担っていますよね(笑)。
まだ桜区で畑を始めて3年目ということですが、側から見ていてすごく地域に馴染んでいるなと感じています。
昨年はトラクターを購入するためのクラウドファンディングに挑戦していましたが、多くの支援が集まっていましたよね。ぜひ挑戦した経緯を教えてください。

木曽くん ここ、さいたま市桜区では近年、「耕作していない/できない」農地が増えているんですよね。
僕が農業を始めてから、任される農地もどんどん増えてきました。
ですが、基本的に一人で生産から販売までの全ての作業を行っているので、それまで使っていた6馬力の耕運機だけでは、体力的に厳しくなってきまして。

大学卒業後すぐに農業研修に入り、そのまま就農をしたので、トラクター購入資金の確保が難しく…。

新規就農する以前から、使用しなくなったトラクターを安く譲り受けられないか色々な方に相談していたのですが、なかなかいい話がありませんでしたので、最終手段としてクラウドファンディングをすることにしました。

━ 「トラクターの購入」は私的な利用とも取られかねないのではと感じたのですが、クラウドファンデングに挑戦することに抵抗はありませんでしたか?

木曽くんおっしゃる通りで、批判されることも覚悟での挑戦でした。

ただ、購入するトラクターは僕1人で利用するわけではなく、周囲の農家さんが必要であれば貸し出すつもりだったので、地域の共有財産として購入するイメージでした。
また、これから先10年、20年とこの地域の農地を保全していくことを考えると、決して僕自身に限らない地域的な問題解決のためであり、社会的な意義があることだなと。

━ たしかに、木曽くんのトラクターを他の農家さんが使用してる投稿をSNSで見ていて、地域の共有財産になっているのだなと感じますよね。
クラウドファンディング自体は順調に目標金額の130万円を達成して、ネクストゴールにもチャレンジしましたよね。

木曽くん そうですね。実はネクストゴールの目的の一つである「地域循環計画」を目的に、いずれクラウドファンディングに挑戦しようと考えていたんですよね。でもそこに到達するため、まずはトラクターの購入が必要と考えたことも今回挑戦した理由の一つでした。

━ 「地域循環計画」とは何ですか?

木曽くん 簡単にいいますと地域で生まれた資源を有効活用し、自然の循環を生み出すシステムづくりです。

例えば鶏を飼って、近隣の飲食店から出る野菜クズを餌にしたり、鶏の糞を土に戻し養分として利用する。

通常であればゴミとして捨ててしまうものを活用することで、地球環境の保全や地域でのつながりを生む取り組みです。

━ それが最近ヒヨコを購入した理由だったのですね(笑)

木曽くん そうですね(笑)。山羊も飼う予定です。
過去には秋ヶ瀬公園の枯葉を堆肥にして土の養分にしたことがありまして。現在は造園業者の剪定チップを堆肥の材料にする取り組みをしてますね。
今後取り組みたいことでいえば、桜区は菌床(おがくずに米ぬか、ふすまなど栄養剤を混ぜ固めたブロック)を使用した椎茸栽培が盛んなので、寿命を迎えた菌床を堆肥や動物のエサにできたらなと。

最初は小量からでもいいので、それぞれが意識的に資源を再活用することで、徐々に循環の輪を広げていけたらなと思っています。