contact

15歳でのトップチームデビュー、『FIFA女子ワールドカップ2019』『2020年 東京オリンピック』の日本女子代表メンバーに選出。順調だったキャリアを襲った大怪我を乗り越え、もう一度日本女子代表の舞台へ / 池田咲紀子

浦和

三菱重工浦和レッズレディースに所属するゴールキーパー(以下、GK)の池田咲紀子さん。
弱冠15歳でトップチームの公式戦に出場し、2016年以降、コンスタントに日本女子代表メンバーに選出されるなど、選手として順調なキャリアを歩んできましたが、GKになったきっかけは意外にも怪我をした仲間の代役でした。

昨年にはキャリア初の長期離脱を経験し、一時期はサッカーを辞めようかと葛藤するほどでしたが、リハビリを乗り越え復帰。
インタビュー時には「怪我を経験してよかった」と、語りました。

今回は池田さんに、GKを始めたきっかけやここまでのサッカー選手としてのキャリア、「怪我をしてよかった」と語る理由を中心にお話を伺いました。

話を聞いた人
池田 咲紀子(いけだ さきこ)



Instagram



Twitter

1992年生 埼玉県浦和市出身(現さいたま市)
2007年、下部組織に所属しながら浦和レッズレディース(現 三菱重工浦和レッズレディース)に2種登録され、なでしこリーグカップに出場。2011年、トップチームに昇格し、リーグ戦初出場を果たす。2015年以降レギュラーとしてコンスタントに試合出場を重ね、2020年のなでしこリーグ、2021年の皇后杯制覇に貢献した。『FIFA女子ワールドカップ2019』『2020年東京オリンピック』の日本女子代表メンバーに選出。

人生の転機となった、代役としてのゴールキーパーデビュー

── 本日はよろしくお願いします。まずはサッカーを始めた経緯からお伺いできますでしょうか?

池田さん小学校の頃に同級生の男の子達と一緒に色々なスポーツをして遊んでいたのですが、その一つがサッカーでした。
次第にサッカー少年団に通っている子と遊ぶ機会が増えたので、自然とサッカーをすることが多かったですし、私自身もスポーツの中でサッカーが一番楽しいなと感じていたんですよね。

── チームに所属をしてサッカーをするようになったのは、いつ頃からなのでしょうか?

池田さん小学生の時に、同級生のお姉ちゃんが地域の女子サッカーチーム『浦和ラッキーズ』に所属している話を聞いたことをきっかけに興味を持って、私も入団することにしました。

── チームに入団してみていかがでしたか?

池田さん『浦和ラッキーズ』はサッカーを楽しくプレーすることを何よりも大切にしていたので、和やかな雰囲気の中で練習をしていましたね。
それまでは男の子とばかりサッカーをしていたこともあってか、単純に女の子と一緒にサッカーをできることが新鮮で楽しかったです。

私自身負けず嫌いな性格もあって、他のチームと試合をして負けると、悔しくて1人だけ泣いていたのを覚えています(笑)。

── 勝負にかける想いが人一倍強かったのですね。中学校進学のタイミングで『埼玉レイナスFC』(現在の三菱重工浦和レッズレディース)の下部組織で中学年代のチームにあたるジュニアユースに入団しようと思ったきっかけをお伺いできますでしょうか?

池田さん『浦和ラッキーズ』の一学年上に、とてもサッカーが上手く尊敬している先輩がいて、その方が『埼玉レイナスFC』のジュニアユースに入団されたんですよね。
中学生になってもその先輩と一緒にプレーしたいなと思って、セレクションを受けにいきました。

チーム内では上手い方だと思っていたので、自信を持ってセレクション会場に向かったのですが、参加していた選手は地区の選抜に選ばれるような子ばかりで、正直ちょっとやばいなと思いましたね(笑)。
ただ、なんとか合格してチームに入団することが出来ました。

── 入団してからはいかがでしたか?

池田さん小学生の時はボランチをしていて、基礎的な技術やキック力に自信があったのですが、周りのレベルが高いこともあって、思うようにプレー出来ませんでした。

スタミナがあまりなかったこともあって、ボランチとして試合に出ることはできなかったのですが、DFやFWとして、中学1年生の時から高校生の試合に出してもらえていました。

順調な滑り出しだったのですが、2年生になった頃から試合に出られない回数が増えてきたんですよね。
ジュニアユースから高校年代のチームであるユースに昇格できるかどうかが決まる大事な時期でもあったので、すごく不安だったのを覚えています。

実はGKに転向したのはこの時期なんです。

── どのようなきっかけがあったのでしょうか?

池田さん中学年代のみが参加する全国大会が始まるタイミングで、3年生のGKをやっている先輩が怪我をしてしまったんですよね。
1年生にGKをやっている選手はいたのですが、まだ荷が重いということで、チーム内でGKをやる選手を選ぶ選考会をすることになりました。

身長160cm以上の選手が対象で、私も該当していて…。
フィールドプレーヤーとして全国大会に臨むつもりだったので、心の整理がつかないままセレクションに参加しました。

私は全然覚えていないのですが、普段は黙々とプレーするタイプなのに、セレクションでGKをやった時には結構、声を出していたらしいんですよね。
もちろん、それだけではないと思いますが、その様子を見て選考会後に監督からGKをやるようにと、声をかけられました。

── 指名された時はどのような心境でしたか?

池田さん正直、納得はしていませんでしたが試合に出たい気持ちがとても強かったので覚悟を決めましたね。
全国大会が終わるまでと考えていたのですが、それから現在までGKとしてプレーしています。