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まちのお財布事情を見える化することで、実態に合ったまちづくりを増やしたい。 / 堀 哲郎

まちづくり

お笑いで天下を取るため、税理士の道へ

━ ありがとうございます。最初はどうなるかと思いましたが、地域経済循環の重要性を理解することが出来ました(笑)。堀さんはロジカルで独自の視点をお持ちだなと感じたのですが、それは小さい頃からなのでしょうか。

堀さんいえ、みんなと同じものが好きな、いたって普通の子供でしたね。

━ そうなのですね。その頃ハマっていたことはありましたか?

堀さん小学校からサッカーをやっていたのですが、中学の頃になって順調に上手くなっていたこともあって、かなりのめり込んでいましたね。レギュラーで活躍したり。

━ イケイケ状態ですね。

堀さんそうですね。学校生活も充実していました。
でもある時、急に成長が止まったんですよね。レギュラーからも落ちてしまって。
元々、周りと考え方が合わないなと感じることは多々あったのですが、その辺りの時期から周りに馴染めなくなっていきましたね。

━ どのようなところに対して考え方が合わないと感じていたのでしょうか?

堀さん中学生の時ってだいたい「下ネタ、変顔、先生のモノマネ」したらウケるじゃないですか。
ムードメーカーキャラの子ががそれらをやって、クラス全体がゲラゲラ笑っているのをすごい醒めた目で見ていたんですよね。
もっと人間を深く洞察した上で、出てくる言葉で笑わせろよと思っていて。

━ 中学生でその観点をもっていたのはすごいですね。周りに理解しあえるような人はいましたか?

堀さんそれが、1人だけクラスにめちゃくちゃ面白いやつがいまして。
ムードメーカーキャラとは真逆なんですよね。
下ネタ言わない、変顔しない、安易で単調なネタに走らないやつで。
その上でプロのお笑い芸人がのようなテクニックを使うのが、絶妙に上手かったんです。
でも全然狙ったような感じではなくて、自然に笑いを取れちゃうやつでしたね。

━ すごい。たまにそういう天然の天才みたいな人いますよね(笑)。

堀さんそうなんですよ!世の中にも結構いますよね。そういう人ほど自分のセンスに気づいてないし、野心がないんですよね。

最初から、その人の面白さを言語化できていた訳ではなかったんですよね。
でもある時に、テレビを見ていたら「イッセー尾形」さんというお笑い芸人(俳優?)が出ていたんですよね。その方のネタが本当に衝撃的だったんです。

彼は、昭和のサラリーマンの哀愁とか悲哀に満ちたものを、1人演劇に昇華して笑いをとっていたんです。それも、ただ笑えるものにするのではなくて、優しく包み込むようなところもあって。
人間を観察して深く理解していないと、これは出来ないなと感じたんですよね。
また、古舘伊知郎さんがフリーアナウンサーになって「トーキングブルース」という社会風刺を交えたトークライブをやり始めた初期も渋谷パルコ劇場まで一人で観に行って似たような衝撃を受けました。
それらの面白さがクラスの彼と通ずる部分があるなと思ったんです。

━ イッセー尾形さんや古舘伊知郎さんを知ったことでその方の面白さを言語化できたと。

堀さんはい。それでそのあたりから、お笑い芸人の漫才とかコントの見方が180度変わりましたね。

ウケた時より、むしろウケてないときの方が気になっちゃったり。
このネタはどんな狙いでやっていて、このコンビはどこを目指してやってるかなとか。
当時はお笑い芸人のエッセイがたくさん出ていたので、読み漁ったりしてましたね。

━ 中学生でお笑いを分析していたんですね。

堀さんそうですね。その辺りから本気でお笑い芸人になって天下を取ることを本気で目指し初めまして、高校生になってからは、ネタ作りをして練習していました。

━ それは1人で?

堀さんはい。でもずっと、中学校時代に出会ったクラスの面白いやつとコンビを組みたい気持ちがあって。
高校卒業のタイミングで誘ってみたんですけど、彼は普通に大学進学してその後就職しちゃって。

━ 全く野心はなさそうでしたんもんね。高校卒業後はお笑い芸人を目指して学校に通われたのですか?

堀さんそうしたい気持ちもあったのですが、うちの両親が全くお笑いに興味がなくて。
親父は毛嫌いしているくらいだったので、お笑い芸人になりたいと打ち明けたら、すごく怒られました。縁を切られる一歩手前くらいまでいきまして。

━ なかなか納得させるのは大変そうですね…。

堀さん当時、自分なりにお笑いの系譜や歴史を調べていたんですよね。
そしたら、今もそうなのですが、インテリな芸風で天下を取っている芸人がいなかったんですよ。
有名な大学を出ている人はいたのですが、人間性とか芸風に落とし込まれている人はいなくて。これは狙い所だなと思ったんですよね。

お子さんのユウマくん。

━ なるほど。

堀さんそれで芸風に説得力をだすために、日本で初めてのケースにならないといけなかったのでまずは難しい国家資格を取得しようと思ったんですよね。

それから国家資格が取れる専門学校のパンフレットを取り寄せて、見比べるようになって。
取り寄せて初めて、司法試験という存在を知るくらいの知識レベルだったんですけど(笑)。

━ だいぶ初歩の初歩ですね(笑)。

堀さん見比べた結果、芸人の修行をちゃんとつめて、30歳前には売れることを逆算すると、弁護士は一番箔がつきそうだけど、当時の旧司法試験のレベルだと失敗したら本当に人生が終わっていく可能性あるなと思いまして(笑)。
旧司法試験ほどではないとしてもかなりの難易度でインテリな芸風にも活かせそうなものを考えたときに税理士はいいぞと。