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まちのお財布事情を見える化することで、実態に合ったまちづくりを増やしたい。 / 堀 哲郎

まちづくり

お笑いとまちづくりの共通点

━ 全てはお笑いで天下を取るためにですよね。

堀さんはい、でもその翌年に4つめの科目を取れたくらいのタイミングで、お笑いでの天下取りを諦めようと思ったんです。

━ 何がきっかけだったのでしょうか?

堀さんその当時は、実家の金沢文庫(横浜市)に住んでいたのですが、両親が祖父母が住んでいる駒ヶ根に帰ることになったんですよ。僕はもちろん天下取りを目指していたので、関東に残ることにして。東京の大井町(品川区)で1人暮らしを始めたんですよね。

東京に住み始めて色んな人と出会うようになって、世の中には才能があって面白いやつがゴロゴロいるなと感じてきたんです。
徐々に、この差を努力では埋められないと気づいてしまったんですよね…。
そこそこのレベルにはなれても、天下はとれないなと。
そこに気づいた時に、すっぱり諦められたんですよね。

━ そうだったのですね…。

堀さんすっぱりと諦めたものの、中三から天下を取ることを原動力にずっと行動してきたこともあって、心にぽっかり穴が空いた感じでしたね。
その後、大手の税理士法人に就職して良くしてもらったのですが、このまま税理士を続けてどうなるんだろうという、もやもやした気持ちが20代はずっと消えなくて。

━ そんな葛藤の時期があったのですね…。

堀さんそれで冒頭の話に戻るんですけど、 税理士4年目くらいのタイミングで駒ヶ根の街の衰退を実感したんですよね。

その時に自分の税理士の知識を活かしたアプローチをすれば、全ての実態である数字を見れる部分で貢献できるかもしれないと思いまして。

━ なるほど。税理士とまちづくりを掛け合わせている方ってあまり聞かないですよね。

堀さんそこも自分にとってはポイントでした。
中学生の時から、絶対に自分しかできないような生き方を模索していた節もあって。
それがインテリ芸人で天下を取ることでしたし。
税理士の知見を活かしてまちづくりに参画している人は他に見当たらなかったんです。

━ 他に被る人がいないことも大きなモチベーションになったと。実際にまちづくりに関わってみるなかで、「お笑い」と「まちづくり」に共通点を感じることはありますか

堀さん「複雑性」はあげられるかもしれないですね。

人が笑うメカニズムって本当に複雑だと思うんですよね。人によって全然違いますし、
正解が全くない。

街もさまざまな人が絡み合って形成されていて、一辺倒じゃ全然うまくいかない。そこに対してどのようにアプローチすれば良いのか常に考えています。

特に、いま進めている地域経済循環の見える化「みんなのまち財」なんて、1つのまち(エリア)全体のお金の流れを見える化する試みですから、普通に考えると複雑すぎて狂気の沙汰ですが、自分はそこにゾクゾクしちゃう変態性があるような気がしてます(笑)

正直まちづくりに関わっていると人間関係を始めとして、大変なこともいっぱいあるのですが、嫌になるかというとそうではない。さまざまな人間模様がそこにあることも含めて、まちづくりの醍醐味だと感じていますね。

━ 人間の深い部分を理解したい想いがある堀さんだからこそ、その複雑性を楽しめているのかもしれませんね。ありがとうございました!