contact

「つながり」を大切に「ご縁」に身を任せて。農業を通して地域をつなげていく。 / 木曽 大原

個人事業主

「地域循環」と「地域のつながり」の大切さを体感した農業研修

━ すごく素敵な取り組みですね。木曽さんが「地域循環計画」に取り組みたいと思った、そもそものきっかけはなんだったのでしょうか?

木曽くん 農業研修先である小川町の「霜里農場」で体験したことがとても大きかったように思います。

霜里農場を立ち上げた金子美登(1948年 – 2022年)さんは、1971年から、今まで半世紀にわたり有機農業を実践されている方で、有機農業の第一人者と言われています。
研修が始まってまず驚いたのは、毎日のように消費者や見学者、卒業生など、さまざまな方がひっきりなしに来訪することでした。

その他にも、地域と連携して地場産業を生み出す取り組みをしたり、研修生が卒業するときは新規就農するためのサポートをしたりと。
地域や人とのつながりをとても大切にしていることを実感しました。
僕自身、研修中は毎日、小川町中をぐるぐると駆け回っていた記憶があります(笑)

地域循環の観点でいうと、豆腐屋さんからオカラをもらって鶏の餌にしたり、天ぷら屋の廃油でトラクターを動かしたりしていたんですよね。
地域での資源循環が生まれると、ゴミが減ることで地球環境への悪影響を減らすのはもちろん、地域とのつながりがより深くなることを肌で感じました。

地域循環の取り組みに限らず、金子さんが長年取り組んできた有機農業、地産地消のまちづくりは、現在僕自身が桜区で取り組んでいる取り組みにも大きな影響を与えています。

━ 霜里農場での経験が「地域循環計画」に限らず木曽くんの現在に大きく影響しているのですね。

木曽くん 住み込みで1年間研修をさせていただいたことで、精神的・肉体的にしんどいこともありましたが、人間としても大きく成長させてもらいました。

また研修期間中、地元の有機野菜を使ったレストラン「有機野菜食堂わらしべ」でアルバイトをしたことも貴重な経験でしたね。

地域で循環を生むために、たとえ原価率が高くなったとしても地域の農家やお店から食材を仕入れることを大切にされていました。
農家や地域の方とお互いに信頼し、リスペクトしあっている関係を近くで見させていただき、僕も地域の飲食店等と連携した農業をやっていきたいと思いましたね。

━ 地域の飲食店に多くの野菜を卸しているのには、そういった経験があったのですね。
そのあとは2年間、埼玉県越谷市にある「遊佐農場」さんで研修をされますが、どのようなきっかけがあったのですか。

木曽くん 「遊佐農場」の遊佐さんが元々小川町で研修をしていたことと、僕の地元である草加市の隣、越谷市で農業をされていることに『ご縁』を感じたんですよね。
僕は学生時代からつながりやご縁を大切に生きていきたいなと思っていたので、遊佐さんの元で研修をさせていただくことにしました。

遊佐さんも地域循環を大切にされている方で、ネットで簡単に購入できるにもかかわらず、地元の包装屋さんや種屋さんを利用する姿勢がとても素晴らしいなと感じました。

━ 遊佐さんの元でも地域循環の大切さを学んだのですね。研修をしながらも、福祉のアルバイトをしたり桜区で畑を借りて自身で農業を始めていましたよね。

木曽くん そうですね。
埼玉大学に通っていた時に遊びに行っていた農家の友人の畑を借りて、僕自身でも農業を始めました。

遊佐さんの元で研修をしてる2年間は地域でのつながりを作る期間にしたいと思っていて。
実際に福祉のアルバイト先の方など、その時のつながりがきっかけで野菜を購入してくださる方もいらっしゃって支えられているなと感じます。

━ 2年間の研修を終えたあとはしばらく福祉のアルバイトを続けていましたが、2022年の1月に専業農家となりましたよね。どのようなきっかけがあったのですか

木曽くん さいたま市で新規就農していた先輩、「こばと農園」の田島友里子さんとの出会いがとても大きかったですね。

まだ研修中の身にも関わらず、2020年に発足したさいたま市の若手有機農家グループ「さいたま有機都市計画」のメンバーに誘っていただきました。
グループ発足記念のマルシェで自分で作った野菜を販売させてもらったことは、大きな自信へとつながりましたね。

さいたま市の農政課の方ともつないでいただいて、正直、農業一本で行くか迷っていたのですが、その担当者の方が後押しをしてくださったことがきっかけで新規就農をしました。