全国を、北浦和を色鮮やかな花で彩っていく。 /  花Cocchi

北浦和駅東口から徒歩１０分の住宅街。
アメリカンベイク専門カフェ「ネストベーキングカンパニー」の一角でお花の出張販売がされているようだ。

どんどんとお客さんが吸い込まれていく様子を見ると、住宅街に突如現れた色とりどりのお花に心が踊っているのは僕だけではないようだ。

「このエネルギッシュなお花はネイティブフラワーはといって、個性的な形と鮮やかな発色が魅力です！」と、お客さんに花の特徴をハキハキと伝えるのは移動販売の花屋『花cocchi』の店主、もとよさん。

パートナーのやすしさんとともに、地元である北浦和付近の店舗での移動販売や、関東近郊のマルシェへの出店を中心に活動している。

店頭には一輪だけで主役となり得るような色鮮やかな花が並んでいる。
その花と花を組み合わせて作るもとよさんの花束には、不思議な魅力がある。

「一輪でも主役となり得る花を組み合わせて、相乗効果を生めたらいいなと思っています。お任せで花束を作る時はカラフルな組み合わせになることが多いですね。私の作る花束を見て癒されはしないかもしれません（笑）」と、茶目っ気たっぷりに笑うもとよさん。

花束としての調和が取れつつ、それぞれの個性が際立っているのだ。

元々、ウエディングを始めとした催事の会場装飾やブーケ制作の仕事をしていたが、コロナの影響で催事が激減。 
空いた時間を活用して知り合い向けにお花の配達を開始したことが、現在の活動を始めるきっかけだった。

想像以上にコロナが長引き、先行きが見えない日々。

配達販売の活動規模を拡大したいとSNSを始めたものの、なかなか売り上げにつながらないことに焦りを募らせた。
大きな転機となったのが北浦和にあるパン屋『ブーランジェリーラリュ』の店舗前で開催した出張販売だった。

「思いつきで店頭での出張販売を打診したら快諾してくださったんです。でも正直、パンを目的にお店に来る人が花を購入してくれるのか半信半疑でした」

その不安は良い意味で裏切られた。

コロナ禍での活動制限や近場にお花屋さんがないことも味方してか、多くの人が花を購入。
想像以上に大盛況だった。

そこから、さまざまな店舗の店頭前での出張販売やマルシェへの出店機会が増加。

順調に活動の幅が拡大する中で出張販売ならではの、あることに戸惑った。

「販売をする場所によって、お客さんの趣味嗜好が全く異なるんです。初めはその違いに適応することに苦労しましたね。また、思っていた以上にドライフラワーを求めるお客さんが多くいることにも戸惑いました。私は生花から楽しんでもらいたいという想いを持っていって…。」

ドライフラワーになっても綺麗な生花を優先的に仕入れたり、飾っておくとそのままドライフラワーになるスワッグを作成し販売。

お客さんの要望に寄り添いつつ、自身の哲学を大切にした。

辛抱強く販売を続けていると、徐々に生花の魅力を認識するお客さんが増加していったという。

２０２０年４月からはお花の定期便を開始した。
出来る限り自身で配達することを心掛け、オフラインでのコミュニケーションを何よりも大切にしてる。

「定期便の内容についてお話ししたり、前回の感想を聞いたりしています。定期的に伺ってフィードバックをもらうことで、お客さんの趣味嗜好が分かってくるんですよね。それと、各ご家庭のお子さんの成長を見れることが楽しいです。以前の仕事にはなかったやりがいだと感じています。」

花が育つ過程も楽しんでほしいと、蕾の状態の花を入れることもある。

コロナが落ち着くにつれて、マルシェへの出店機会が増加。

「昨年は近辺だけでなく群馬県や山梨県に行きました。色々な地域に行けることが楽しいですし、他の小商さんや花屋さんの仕事姿をを見れることがとっても勉強になっています。」

各地を飛び回る一方で「もっとお花を身近に感じてほしいんです」という想いから、北浦和付近の店舗のスペースを借りて、ワークショップの開催にも力を入れている。

「店舗やアトリエを持ちたいと思ったこともありますが、私には今の働き方が性に合っているのかもしれません。関西や九州、西の地域のマルシェにも出店してみたいですね。あとはその土地の森や山で収穫した花草を使ったワークショップも開催してみたいんです」と、働き方や今後の展望について語る姿はとてもイキイキとしていた。

活躍の幅を広げ続ける彼女は、どこまで羽ばたいていくのだろうか。

全国各地を、そして地元である北浦和を花で色鮮やかに彩っていく。