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コーヒーと共に豊かな時間を。/ TOTOMONI珈琲豆店

喫茶店・カフェ

浦和駅付近では再開発の影響もあって、個人商店の閉店が相次いでいる。
街が発展する側面もある一方で、店主さんとの距離が近いお店が減ることは悲しい。

そんなことを考えていたある日、知り合いから浦和駅東口の東仲町商店街に、新しい個人商店の珈琲豆屋さんが開店したという話を耳にした。
それも店主は浦和出身らしいと。自然と胸は高鳴り、足はお店に向かっていた。

お店の前には珈琲豆を入れる麻袋が並び、少し開いた入り口の隙間からは焙煎されたコーヒーの良い香りが漂ってくる。

思わず香りに誘われ店内に入ると、特徴的な形の焙煎機が目に飛び込んできた。
「お店で焙煎体験もしているんですよ」と柔らかい声で教えてくれたのは店主の戸田さん。

店内では約15種類の厳選された豆が販売されているほか、テイクアウト用のコーヒーやカフェオレ、お菓子の販売も。
焙煎体験やコーヒー教室にも力を入れていて、開催されると多くの方が参加されるそうだ。

「地元の浦和でいつかお店を開きたかったんです」と話す戸田さんは、コーヒーが好きだったこともあり大学を卒業後、大手コーヒーチェーン店で働き始めた。

仕事に対してやりがいを感じる一方で、もどかしさも感じていたという。
「働いていたお店では約20種類の豆を常備していました。
自分で飲み比べて、味わいの違いを知ることがとても楽しかったんですよね。
お客様にもその違いを知ってもらえたら、もっとコーヒーに興味を持っていただけるのにと思いながら、忙しさから、ゆっくり説明する機会がなかなか取れませんでした」

日々の忙しさからなかなか理想とする接客が出来ない戸田さん。
年を経るごとに管理職としての仕事も増えていき、お客様と会話をする時間自体も減少。

そんな悶々とした日々を過ごしている時に、知り合いが珈琲豆屋を始めたという知らせを聞き、遊びにいったことが転機となった。
「そこで飲んだコーヒーが衝撃的に美味しかったんです。個人でこだわって豆を選んで、焙煎して、新鮮な状態で淹れるとこんなにも違うのかと」
この出来事がきっかけで、思い切って独立することを決意した。

自分のお店を持つようになってからは、コーヒーについてより深く探求したり、お客様と会話をする機会が増え、充実した日々を過ごしていたが驚いたこともあったそうだ。
「忙しいこともあってか、家で豆からコーヒーを淹れて飲むのではなく、インスタントコーヒーを飲むという人が結構多いなと感じたんです」

もっと、豆からコーヒーを淹れることを身近に感じてもらいたいという想いが、新たな取り組みへとつながった。
「コーヒー教室と焙煎体験を始めました。知識を学んだり、焙煎する過程を体験することで、コーヒーの面白さや奥深さに気づくきっかけになると思うんです。その結果、家でコーヒーを淹れる人が増えたら嬉しいなと思っています」

コーヒー教室は今までに、生産地、焙煎度、淹れる温度による味の違いを楽しむ飲み比べを実施。
テーマは毎月変わるので、月毎に参加することで、毎回新たな発見が楽しめそうだ。
「焙煎体験、コーヒー教室のどちらでも最初に座学の時間を設けているのですが、思っていたよりもその時間が好評なんです」

コーヒーの身が赤いこと、生豆の時点では茶色くないこと、コーヒーの栽培に適したコーヒーベルトという地帯があること…知識を学んでもらうことで、焙煎体験やコーヒー教室への没頭度が大きく変化する。
「教室の時に、豆の産地ごとの特徴を口頭だけではなく、視覚でも理解して欲しかったので、窓に世界地図を書いてもらったんですよ。必要だと思ったことはどんどん取り入れていこうと思っています」と楽しそうに話す戸田さん。
さまざまな取り組みをしながら、日々の気づきを大切にして、試行錯誤を楽しんでいる。

店名にも、コーヒーを身近に感じてほしい、という想いが込められている。
「私自身が、今ままでずっとコーヒーに携わってきたということで、今までもこれからもコーヒーと共に(TOTOMONI)にという意味と、お客様にもコーヒーと共に(TOTOMONI)豊かな時間を過ごして欲しいという意味で『TOTOMONI』と名付けました」

その想いは普段の接客にも現れている。
取材中に来店したすべてのお客様に「普段、ご自宅でコーヒーを飲まれますか?」と声をかける戸田さん。

「お客様が普段、家でコーヒーを飲むシーン、それはホットなのかアイスなのか、ミルクを入れるのか、そういったことを聞くことで、お客様1人1人に合った珈琲豆のご提案が出来ると思っています。それと話の流れで、淹れ方のコツをお伝えすることもありますね。ここでの会話をきっかけに家でコーヒーを淹れたり、飲む時間が少しでも楽しくなったら嬉しいです」

翌日、戸田さんに教えてもらった淹れ方のコツを参考にコーヒーを淹れてみる。

いつもとは違うコーヒーの味わいに気づき、少し嬉しくなる。
これからコーヒーの奥深さにハマってしまいそうだ。

SHOP INFO

  • 店舗名:TOTOMONI珈琲豆店
  • 所在地:埼玉県さいたま市浦和区東仲町19ー3
  • お問合せ:totomoni.coffeebeans@gmail.com
  • 営業時間、定休日:要確認(Instagramから。)
  • SNS:@totomoni_coffeebeans