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丁寧に、手間ひまかけた家庭の味を。「ふるさとごはん まめの」

グルメ

お米の上に10品目のおかずが並び、真ん中には大きな魚の切り身が鎮座。
「ふるさとごはん まめの」の人気メニューの一つ、わっぱめし弁当だ。

どの、おかずから食べるか思わず迷ってしまう、豊富なラインナップと豊かな彩りに心が躍る。

「具材や栄養のバランスを考えていたら、いつの間にかおかずが10品目になっていて。
いつもお弁当からこぼれ落ちないよう試行錯誤しながら乗せているの(笑)」
と店主の荒井さんがいたずらにに笑いながら教えてくれた。

「どのお弁当も、ご飯は普通の定食屋さんの大盛りにあたる250g入っているんだけど、ご年配の方やお子さんでもペロリと食べられるって言ってもらえるんです。」

食べてみて、すぐに納得する。
おかずの味付けと食感にバリエーションが出るように工夫がされているのだ。
おかず、ごはん、おかず、ごはん…。と順番に口に運んでいたら、いつの間にか食べ終わっていた。

「ふるさとごはん まめの」では、わっぱめし弁当以外にも店主の荒井さんの故郷である、山形県庄内地方の食材をふんだんに使ったお弁当が日替わりで販売されている。

人気メニューの「山形牛弁当」

荒井さんは故郷、庄内地方の話になると一段と言葉に熱がこもる。
「庄内地方は豊かな自然があって、日本海に面していて、美味しいものがいっぱいあるんですよ。ユネスコの食文化創造都市にも選ばれているんですけど、宣伝下手だから全然知られていなくて(笑)」

荒井さんイチオシの「麦切り」

2018年7月の開店当初は、店内で庄内の郷土料理、家庭料理、日本酒を提供していたが、コロナ禍による一時休業を経て、弁当販売中心に切り替えた。

「お弁当って本当に難しくて。器や盛り付けで表現していた見た目の美しさや、汁物や鍋物のほっとする温かさをお弁当でどうしたら表現出来るか、日々試行錯誤していますね」

幼少期、両親が共働きで忙しく、おばあちゃんの家で過ごすことが多かったそう。
「おばあちゃんは家にいる時間は常に台所に立っている人で、朝ごはんから机いっぱいにおかずが並ぶことが当たり前でしたね。一汁三菜ならぬ、一汁十菜くらい(笑)。料理のお手伝いをする機会も多かったので、私の料理のベースはその時に身につきましたね」

時間と手間をかけた家庭料理で育った幼少期だったが、10代で故郷を離れてからは、食に対して無頓着になった時期もあったという。
仕事や遊びで忙しく、料理にかける時間が取れなかったこともあり、手軽に食べられるファストフードや刺激的で大味の食べ物を頻繁に食べていた。

転機は子供が生まれたことだった。
「私がそうしてもらっていたように、出来るだけ生産者さんが分かる国産の食材を使って、手間ひまかけたご飯を食べさせたいと思いました。小さい頃の食事ってすごく重要じゃないですか。ただ、浦和ではなかなか私が求める食材や調味料が手に入らなかったので、しょっちゅうおばあちゃんに送ってもらっていましたね」
その時に磨かれた料理の腕が今のお店で活かされることになる。

子育てが落ち着いてきたころに知り合いから、庄内地方の食材を使った飲食店をやりたいので手伝って欲しいという相談を受けた。
「最初は、『お店の食材の仕入れのタイミングで、自分が食べたいものも一緒に仕入れることが出来るからラッキー!』という感じでしたね(笑)。それまでは配送料がかかるので頻繁にはお願いできなかったし、少量では仕入れにくい食材もあったので」
自分が食べたいものを一緒に注文でき、子育てで毎日していた料理の経験を活かせる環境は荒井さんにとっては、願ってもないものだった。

お店は順調そのものだったが、ある日、転機が訪れる。
「一緒に働いていた人が、体調不良で突然これなくなって。翌日からわたし一人で営業する状況になったんです」
その緊急事態に初めは苦労したが、自然と手伝ってくれる人も集まり、なんとか立て直し、気づけば2022の7月にお店は4周年を迎えた。
「あっという間で全然実感がないですね。やめようと思えばいつでも辞められました(笑)。
でも一緒に働いてくれる人や常連さん、取引さんの人がいるのでなんとか頑張ってやってこれましたね」

この4年間で、おばあちゃんへの尊敬の念が深まったという。
「お店を始めてみて、おばあちゃんがずっと台所に立っていた意味がわかりました。
山菜や魚は、下処理にしっかり時間をかけないと素材の味が損なわれてしまうし、出汁はゆっくり時間をかけて取らないと質の高いものにならないんです」
幼少期、当たり前のように食べていた家庭料理には膨大な時間と手間がかけられていたことを実感した。

食材や調理にはこだわりをもつ一方で、お客様の要望には柔軟に対応する。

今までに

「肉魚が食べられないから野菜だけのお弁当を作って欲しい」
「ご飯が美味しいからお弁当と別におにぎりも作って欲しい」

といった、要望に応えてきた。

「もちろん、対応できる範囲にはなるけど、さまざまな要望に答えられるのは個人店だからこそだと思うんですよね。『他で対応してもらえなくて困っている』と言われたら、出来るだけやりたいと思っちゃいますよね。それで感謝してもらえたらすごく嬉しいですし」と真剣な表情でつぶやく荒井さん。

「まぁ、めんどくさいことも多いんだけどね!こないだなんて–」と照れ隠しのように続けた。

頼りにしてくれる人や、支えてくれる人の信頼をエネルギーに変え、今日も荒井さんはお弁当を作る。

SHOP INFO

  • 店名:ふるさとごはん まめの
  • 所在地:埼玉県さいたま市南区2丁目16−2
  • お問合せ・ご予約:048-708-172もしくはInstagramのDM
  • 営業時間:11:30〜
  • 定休日:水.日.祝 不定休あり
  • SNS:@furusatogohan_mameno