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実直に、美味しいフレンチと真心込めた接客を。/ ビストロクゥー

グルメ

生ハムと野菜がふんだんに散りばめられたガレットプレートに、旬の野菜を丁寧に裏漉しして作られたなめらかなスープ。

これだけでも十分満足なのだが、さらに厳選した小麦粉を使用して作ったバナナのシフォンケーキとドリンクがついて1,500円。

知り合いに北浦和でおすすめのお店を尋ねると必ず、『ビストロクゥー』の名前が出てきた。
ランチの時間帯から本格的なフレンチを肩肘貼らずに味わえると聞いていたが、味に加えて居心地の良さと価格のお手頃さも想像以上でお腹だけでなく心も満たされる。

「原価や料理の手間を考えると大変な面もありますが、お客様にお腹いっぱい美味しいフレンチを食べてもらいたいと思い頑張っています」と、シェフの健さん。

お店を開店するまでに都内の高級フレンチなどで15年間、修行をした経験を持つ。
なるほど、そのクオリティにも納得だ。

ディナーのイチオシメニュー 『若鶏とブルーチーズ ナッツのテリーヌ 自家製塩レモンのヴィグレット添え』

その美味しさの秘密を知りたいと、料理のこだわりについて尋ねると「うーーーん」としばらく考え込む健さん。

すると、すかさず奥さんの睦(むつみ)さんが
「シェフは『素材と対話しろ』とよく言ってますね」と助け舟を出してくれた。

主にデザートの仕込みと接客を担当する睦さん

「たしかに、言ってるかもしれません(笑)。食材にしても、一つ一つで味が違うじゃないですか。レシピに縛られることなく、食材に合わせて調理することを大切にしていますね」

ビストロクゥーでは健さんが厳選した食材で“一から手作り”することを大切にしている。
ソースはもちろん、ソーセージやパン、アイスクリームまでも作るというから驚きだ。

「料理を作っている時に、フレンチの基礎を教えてくださった師匠の顔が頭に浮かびます。師匠に恥じない料理を出すことを考えて作ることも多いです」

一皿、一皿に真摯に向き合って作っていく。
健さんのこだわりや言葉選びから、黙々と仕事に取り組む職人のような印象を受けたが、睦さんが抱いた第一印象はずいぶん違ったようだ。

二人は元々、フレンチレストランの先輩・後輩という間柄だった。

「私が先に働いていて、シェフが後から入ってきたんです。『線が細くてちょっとナヨナヨしている』が第一印象で、辞めるのも時間の問題だなと思いましたね」と笑う睦さん。

「手取り足取り丁寧に教えてくれるような環境ではありませんでした。自分でどんどん仕事を取りにいくことが求められたので、最初は慣れるまで本当に苦労したのを覚えています。その中でも奥さんはとっても優しかったですけどね(笑)」

その言葉に、すかさず睦さんが「辞められたら困るので」と冗談を飛ばす。
二人の何気ない掛け合いに思わず頬が緩む。

デザートの人気メニュー、『自家製バニラアイスを添えた、いちごのガレット』

睦さんの予感はいい意味で外れた。
健さんは先輩にどれだけ怒られようとも、必死に食らいついていったのだ。

「正直やめようと何度思ったか(笑)。でも僕の師匠となるメインシェフを筆頭に、職場の皆さんの指導には厳しい中にも愛があると感じられました。それに、作る料理が本当に美味しかったので絶対に習得したいと思って、いくら怒られようともお店で働き続けました」

そのギャップに、睦さんが惹かれたことが結婚のきっかけだった。

健さんはその後、いくつかのフレンチレストランで修行。
健さんのお兄さんが近くに住んでいた縁もあり、7年半前の2016年に現在の場所に店舗を構えた。

両親が魚屋と料理屋を営んでいたこともあり、健さんにとって自分でお店を持つことは自然な流れだった。

「独立したタイミングは、二人目の子供の出産や家を購入したばかりのタイミングで、正直不安でいっぱいでした」と本音を話す睦さん。
それでも健さんの夢を応援したいと、背中を押した。

「あの時は借金大魔王でした」と茶目っ気たっぷりに話す健さん

不安を払拭するかのように初めから大盛況、とはいかなかった。
「ランチは多くの方に利用していただいたのですが、ディナーはかなり苦戦しました。通常クリスマスシーズンは、かき入れ時なのですが一年目はディナーの時間帯に全く予約が入らなくて。当日にお母さんと娘さんが『やってますか?』と言いながら入ってきたのを今でも思い出します(笑)」と、健さん。

その後も厳しい時期が続いたが、ぶれずに淡々とお店を続ける日々。
すると、開店して3年目頃から徐々にディナーの時間帯も席が埋まるようになった。

『スープ ド ポワソン』 香味野菜で出汁を取り、魚介をふんだんに使ったスープは数時間かけて作られる。

開店初年度はほとんど来店がなかったクリスマスも、年を経るごとに予約で席が埋まるように。
昨年のクリスマスは、予約と予約の間の空席をなくすために、思い切って利用時間を区切った3部制にしたが、それでも全ての枠が埋まるほどの盛況だったという。

あるサイトに、こんな口コミがあった。
「お店自慢のレバーペーストがあまりに美味しいので、何を使っているのか聞いたところ、忙しい時間帯にも関わらず、手書きのメモを持ってきて下さいました。」

口コミを伝えると、恥ずかしそうに笑う二人。

「私たちはすごく社交的という訳ではないんです。でも何か聞かれたらできる限り応えたいと思っていますし、お客様のご要望を察知して、言われる前に応えたいと思っています」と睦さん。

「ゆっくり過ごしてほしい」とデザインされた落ち着いた内装

決して特別なことや派手なことはしない。
毎日変わらず美味しい料理を提供し、真心込めた接客をする。
当たり前のことを当たり前に。
その積み重ねが今の『ビストロクゥー』を作り上げている。

「開店して7年半、続けられているのは皆さんのおかげです。変わらずにこれからも通ってもらえるように、お店を営業していきたいです」と健さん。

今日も実直に、夫婦二人三脚で美味しいフレンチを北浦和の人に届けている。

SHOP INFO

  • 店舗名:ビストロクゥー
  • 所在地:さいたま市浦和区北浦和1-15-10-101
  • お問合せ・ご予約:048-767-3226
  • 営業時間:【火~金】11:30~14:30(L.O.14:00) 17:00~22:00(L.O.お食事21:00 ドリンク21:30)
    【土・日・祝】17:00~22:00(L.O.お食事21:00 ドリンク21:30) ※予約がある場合は15時から営業
  • 定休日:月曜日
  • SNS:@bistro_coeur