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記憶に残るパンを焼きたい。 / Boulangerie La Rue(ブーランジェリーラリュ)

グルメ

扉を開けると、目に飛び込んでくるバラエティ豊かなパン。

「あたらしいアイディアが浮かんだらすぐに試作して、美味しいものが出来たら店頭に並べたくなるんです。種類を増やす分、減らせばいいんですけど、そのパンが好きな人の顔が浮かぶと…」と苦笑いするのは店主の慎吾さん。

お客さんを思うがゆえに種類は増え続け、多い時には80種類のパンが並ぶ。
特に人気のハード系のパンは、外はカリッ中はフワっとした食感に多くの人が病みつきになっている。

「ブーランジェリーラリュ」は北浦和駅からバスで約10分かかる立地にも関わらず、遠方から足を運ぶ人も多い。

修行先は都心で、お客さんの来店が途切れない人気店だった。
学べることも多かったが日々せかせか働いていて、心にゆとりが持てない日々。
「ゆっくり自分たちのペースで働きたかったんです」と、住宅街である現在の地にお店を構えた。

慎吾さんはハード系のパンを得意とする都心のお店で、10年間修行。
その後、修行先で出会った香菜さんと結婚し、この地でお店を開業して今年で10年目となる。

妻で相方である香菜さんの自由で子供心に溢れた発想が、お店の人気メニューを生み出すことも多い。

「雲パンは私の『雲みたいなパンが食べたい』という思い付きから、とろりアンパンは私の『もちもちのパンに、あんまんみたいなとろっとしたあんこが入ったパンを食べたい』という願望から生まれたんです」

「雲パン」は水の代わりに生クリームを使用している。

実際に「雲パン」を食べさせてもらって、ただただ驚かされた。
噛めば噛むほど、口の中でパンが膨らんでいく錯覚を感じるほどにふわっふわなのだ。

この食感を生み出すために、ハード系のパンで培った慎吾さんの技術が存分に活かされているという。

「ハード系のパンは通常より生地に水分を多く含ませて高温で焼きます。水分量を誤ると型崩れしたり中がパサつく可能性もあるのですが、上手くいけば外はパリッと中はふんわりもちもちな食感になるんです。この水分量コントロールの技術を、ソフト系のパンを作る時にも応用しています」

香菜さんの発想力と慎吾さんの技術力。
お互いの強みが掛け合わさることで、唯一無二のパンが生み出される。

ソフト系、惣菜系、デニッシュ系…。

慎吾さんが得意とするハード系はもちろん、ブーランジェリーラリュのパンは「どれを食べても美味しい」ことで評判だ。

クロワッサンはバターの香りを引き立たせるために砂糖を控えめに。
粉の配分・ミキシング・温度・発酵、全ての作業を上手くいかせることでザクザクとした際立った食感を生み出す。

ドーナッツは通常の生地より水分量を多くし、高温で揚げることでクシュっとした食感に。

バゲットは生地に通常より少ないイーストを使用し、低温の冷蔵庫で長時間発酵することで粉の甘みを引き出す。

パンによって際立たせたいところを決め、一つ一つを丁寧に作り上げる。
季節やその日の天候に応じて、最適な粉の量や発酵の時間を柔軟に調整することも欠かさない。

2人のあくなき探究心と愚直な姿勢が、「ブーランジェリーラリュ」の美味しいパンを作り上げている。

「食べた時に『わあっ!!』と感動して欲しいんです。感動するパンでないと、リピートしてもらえないじゃないですか」と香菜さん。

その想いは店頭に置かれた看板の言葉に込められている。

1日の作業時間は、気づくと修行時代を超えることもある。

「せかせかしたくないと独立してこの地にお店を構えたのに、結果的に前よりせかせかしているんですよね(笑)。ですが、今は思い付いたアイディアをすぐに形に出来たり、じっくり考えながらパンを作れる時間が増えて楽しいです」と、話す慎吾さんの顔は充実感に溢れていた。

2人は「記憶に残るパンを焼く」ために、今日もパンの世界を探求している。

SHOP INFO

  • 店舗名: Boulangerie La Rue(ブーランジェリーラリュ)
  • 所在地:さいたま市緑区道祖土1ー27−10
  • お問合せ:048ー881ー0273
  • 営業日時:8:00〜17:00
  • 定休日:火・木
  • 駐車場:6台
  • SNS:@boulangerie_larue