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パンを通じて「1日の始まり」と「地域」を豊かに。 / ベイクハウス イエローナイフ

グルメ

朝の6時。
夏を迎えたこの時期は太陽がすでにビルの隙間から顔を出し、街全体をギラギラと照らす。
それでもまだ多くの人が眠り、静まりかえる住宅街でひっそりと賑わいを見せるお店がある。

浦和駅西口から歩いて10分程度の住宅地にある「ベイクハウス イエローナイフ」。
早朝の時間帯にも関わらず平日は仕事に向かう人、土日は家族連れを中心に多くの人が訪れ、想い想いにパンを選んだり、イートインスペースで朝食を楽しんでいる。

店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは木枠の本棚や大きな机、可愛らしいパンの創作物。


「木枠は父、パンの創作物は母、窓際の机は僕と兄の手作りです。他のアイテムはそれぞれが好きな作家さんが作成した作品の場合が多いですね。このお店は家族みんなで作りあげた空間です」と教えてくれたのは店主の純弥(すみや)さん。


知り合いの作家さんが作成した照明

純弥さんのご両親が、埼玉県北本市で20年に渡って切り盛りしていたパン屋を浦和に移転したのは5年前のこと。
「より大きな規模でお店を営業したかったみたいで。父と母はチャレンジャーなんですよ」と笑いながら、移転理由を教えてくれた純弥さんは元々、都内のロースタリーカフェでバリスタ兼焙煎士として勤務していた。

移転のタイミングでご両親から声をかけられ、お店を手伝うことに。
元々お店を手伝っていたお兄さんが3年前に移住したことで、現在は純弥さんとご両親の3人が中心となってお店を切り盛りしている。

家族共々海外のベーカリー好きで、8年前には家族旅行でロサンゼルスに訪れて現地のパン屋を巡ったほどだ。

「海外のベーカリーは早朝からさまざまなお客さんで店内がワイワイガヤガヤしているんですよね。その雰囲気が好きで、日本では早くても8時に開店するお店が多い中、うちは6時に開店しています。コーヒーを片手にパンを食べながら、談笑をしたりゆったりした時間を過ごす。朝の時間が充実すると1日が豊かになると思うんですよね。」

海外のベーカリーを参考にした温かみのある店内。壁にはたくさんの絵本。

子連れでも訪れやすい雰囲気なのは、
「家族で利用できる個人店ってあまり多くはないいと感じていて。子連れでもゆっくり過ごしてもらいたいんです」と、自身も子育てをする純弥さんならではの想いが反映されている。

ショーケースにバラエティ豊富で個性豊かなパンが並ぶのも、選ぶ時間と食べる時間を家族で楽しく過ごしてほしいからこそだ。

純弥さんのお母さんが手作りする甘さ控えめの「アンパン」は老若男女、幅広い層に人気の一品。

子供に一番人気の「ドーナツ」は優しい甘さでサイズ以上の食べ応え。古代穀物のスペルト小麦を使用しているのでビーガンの人でも楽しむことが出来る。

主に純弥さんが担当しているハード系のパンは、出来るだけ埼玉県産の小麦を使用。
素材本来の味を楽しめる仕上がりにしている。

「埼玉県産の小麦はあっさりした味わいと余韻で広がる甘みが特徴です。その特徴を最大限活かすことを心掛けて作っていますね」

純弥さんが出来るだけ埼玉県産の小麦を使用するのは『地域循環』を大切にしているからだ。

「僕らの好きな海外のベーカリーは地域の小麦を使用したパンを作って、地域の人に向けて販売することを大切にしているんですよね。その姿勢がとてもかっこいいなと感じました。僕らも出来るだけ、使用する食材は小麦に限らず地域の農家さんや問屋さんから仕入れるようにしています」

数量限定で店内で食べることが出来るオープントースト

不定期でお客さんとコラボしたイベントを開催するのも『地域循環』の意識があるからかもしれない。

「お客さんとの距離は結構近いと思います。気になる方には僕から話しかけることもありますし(笑)。今までには画家さんや焼き物の作家さんと合同イベントをしたことがありますね。」

お菓子が好きな従業員の方の発案で、イベントを開くことも。
予約をしなくともフラッと参加できるカジュアルなイベントも多く、思わぬつながりが『イエローナイフ』を通じて生まれることも多い。

4周年記念イベントのポスター

「コミュニティを小さく捉えて、その中で循環させていけたらなと。近所だからぷらっと来る、応援してくれるくらいでいいんですよね」と話す純弥さんの言葉は、肩の力が抜けていて自然体だからか、スッと体に入ってくる。

開店当初は早朝の時間帯の集客に苦労したが、それでも淡々と営業を続け、今では土日を中心に開店前から行列が出来る日も。7月には浦和で店舗を開店して5周年を迎えた。

これからもイエローナイフが浦和で「1日の始まり」と「地域」を豊かなものとしていくだろう。

SHOP INFO

  • 店舗名:ベイクハウス イエローナイフ
  • 所在地:埼玉県さいたま市浦和区仲町3ー3ー11
  • お問合せ:048ー716ー6403
  • 営業日時:6:00〜15:00(売り切れ次第終了)
  • 定休日:月・火
  • 駐車場:無し(近隣のコインパーキングをご利用ください)
  • HP:http://yellowknife.hippy.jp/
  • SNS:@bakehouse_yellowknife